草原

草原(そうげん、くさはら)は、草に覆われ、木がまったくないしほとんど存在しない大地である。

定義

草原は、草本、あるいは同程度の樹木がそれに混じった植生のことで、高い樹木がほとんどない状態のものを指す。背丈については必ずしも一定の基準があるわけではなく、芝生のようなものから、ススキ草原のように2mを越えるものもこれに含まれる。規模の小さいものを草地というが、両者の厳密な区別はない。

なお、植物生態学的には、水草のはえている場所も草原として扱う。

成立条件

一般に、植物の生育に関して環境条件の良い所では、樹木が生育して森林が成立する。したがって、草原になっている場所というのは、何らかの点で森林が成立するには欠けた点がある場所、と言うことになる。自然条件下では代表的なのは以下のような場合である。

水条件
降水量が少なく、樹木が生活できない場合、草原になる。ステップあるいはステップ気候。
気温
低温が極端な場合、植物は地表からあまり離れられなくなるので、草原が成立する。ツンドラ・高山帯など。
極端に強い風が吹き付ける場所では、植物は背が高くなれないので、草原になる。風衝地。
土壌
特殊な土質の地域では、樹木の生長が悪くて草原になる例がある。カルストはその例。同様に湿地では土中の水分が多くて根が深くは入れないので、樹木は生長しにくく、草原となる。

遷移との関連

植物群落の遷移では、最初から樹木が現れることは少なく、まず一年生草本が、それから多年生草本が侵入する。したがって、遷移の初期段階にある場所は、草原である。そのような草原は、攪乱が生じない限り、次第に森林に移行するものと考えられる。

また、攪乱を受けたことによって草原化する場合もある。過度の樹木伐採や、牧畜によって草原が形成されるのがその例である。野生の草食動物によっても、同様の現象が起きる場合があるが、特殊な場合と考えた方が良い。

立地

草原になりがちな場所としては、以下のようなところがある。

  • 極地と高山:いわゆる森林限界を超えた場所。
  • 内陸の平原。

より局地的な条件としては、

  • 海岸。岩礁であれ、砂浜であれ、海岸線付近には樹木は生育しにくい。
  • 湿地、水辺
  • 氾濫原。湿地である場合も多い。
  • 鉱山跡。
  • 火山周辺
  • 人為的環境。野焼きの後など。農耕地もある意味では草原である。

森林

森林(しんりん)は、広範囲にわたって樹木が密集している場所である。集団としての樹木だけでなく、そこに存在するそれ以外の生物および土壌を含めた総体を指す。

比較的小規模・低密度のものを林(はやし)、そうでないものを森(もり、杜)とも呼ぶが、明確な区別はない。また、これも科学的な用語ではないが、木の比較的まばらなものを疎林(そりん)、密集したものを密林(みつりん)という。広域にわたって樹木が繁茂し、高所から見ると海のように見える大きな森林を樹海(じゅかい)という。日本の農林水産省は、人工的なもの(人工林)を林、自然にできたもの(自然林)を森と定めている。なお、林業分野ではむしろ人工林を指して森林と言うことが多い。

森林大国と言われるカナダでは森林の比率(森林率)は国土の45.3%である。日本も森林が国土の68.9%を占め、森林大国と言われる。

森林の形成

木が並んで生えていても、それを「森」とは言わない。見かけ上、木が並んでいるのが見えず、木の葉が一面に並んでいるのが見えるのが森である。これは定義としては成立し難いが、ある意味で森の性質を示している。森では外見上、多数の木が一つのまとまりを呈する。外から見えるのは木の葉ばかりである。つまり、表面に木の葉の層ができるので、森の中は暗くなる。したがって、枝葉は森の中では少なくなる。そして、枝葉の層で包まれることによって、森の中は、森の外とは異なった微気候の場となる。おおよそ、最高気温は低く、最低気温は高く、湿度は一定の範囲内に保持された、穏やかな条件を維持する。

森林は、一定の構造をもっている。それを構成する種組成、構造などに関する研究は、森林生態学が担当する。森林の構成の基本は、植物にあると言ってよい。森林を植物が構成するものと見た場合、この植物群落の構成を植生と呼ぶが、それを研究するのは、植物の群集生態学、いわゆる植物社会学、あるいは植生学である。

森林は、それぞれの地域、環境によって一定の形をもつ遷移によって形成され、それなりのいくつかの類型に分けられる。それによって種組成もある程度の決まった組み合わせとなる。

森林のとぎれるところを外から見ると、高い木の側面は見えず、低木や蔓草の層によって森の中が見えなくなっているのが普通である。また、その根本には、草が生えている範囲がある。前者をマント群落、後者をそで群落と呼ぶ。これらは森への風の出入りをふせぎ、森林の内部を保護するように働いている。